本屋で読みたい本を探すために巡回に巡回を重ねて、、、結局売れ筋の新書を片っ端から立ち読みして、自分が興味を持てそうなやつを探し出してきました!


著者の田村潤さんは、元キリンビールの代表取締役副社長とのこと。


まずは帯に書いてある本作の紹介文を記載

キリンがスーパードライの波に飲み込まれつつあった1995年に、45歳だった私は社内で代表的苦戦エリアといわれた高知支店に支店長として赴任しました。そして厳しい闘いの末、2年後には高知支店の業績は反転し、高知県においてアサヒビールからトップシェアを奪い返すことができました。(略)現実と格闘して得ることができたのは、キリンビール社内、あるいはビール業界だけで通用するノウハウでなく、営業に普遍的な考え方や、物事の捉え方でした。私が高知での逆転劇で得たこの考え方は、現在必死に打開策を求め、間違った方向に血を流している多くの現場の営業マンにとって、解決の糸口になるものだと思います。(「はじめに」より)




ビール営業という仕事をしていた著者の経験を元に書かれた一冊。

かつてはビールと言えばキリンと言われるほどに、業界でダントツのトップだったキリンビールが、アサヒのスーパードライの追い上げにより、業界の構造が大きく変わろうとしていた時に、苦悩の末に成果を上げることができたという、逆境の中での成功体験談。


長年の業界トップという位置に君臨していたことの弊害で、かつてのキリンビールの営業の現場というのは、ある意味で“殿様商売”と化してしまっていたようで、営業員は外回りを数多くはしないことが普通となり、キャンペーン等を社内で行った時などには、キャンペーン内容を顧客に伝えるだけの、営業員でなくメッセンジャーとなっていたとのこと。

確かに、大した苦労をするでもなく、業界のトップにいられているのであれば、会社も社員も楽な方へ楽な方へ、、、と怠け者になりつつ、トップではあるので、プライドだけは高くなっていってしまう構図はよく分かる。


そこで著者は高知支店の支店長となった際にこの大勢を変えようとして、ノルマやキャンペーンで営業員を縛るのではなく、自発的に目標を決めさせて仕事に向かわせたりしたそうです。


・・・別にその施策が悪いというこは無いですが、正直この辺まではどこの会社でも考えつく上司はいそうです、、、しかし、この後の2点において自分は驚かされました。




①短期的な数字ができなかったとしても、本部からの指示を直接現場には伝えない。自分自身が営業員を守る壁となる。

会社は営業員や会社の業績管理する上でも、定期的にキャンペーンだったりノルマを打ち出します・・・

例えばわかりやすいところで、今月中に1000ケースAという商品を売れ!とか、期間中だったらば100ケースまとめて買ってくれた顧客にはBという販促商品をプレゼントするキャンペーンをするから、これを餌にして売れ!!とか。


自分も営業員の経験があるんで言うと、この縛りがあることで営業員の仕事をしづらくしている側面が結構あるんだよね~
※おいらはビール会社ではないけども


例えば上述のノルマ「今月中に1000ケースAという商品を売れ!」っていうノルマが現場におりてきた時に、営業員の自分が熱心に当たっている顧客で今月2000ケースBという商品を買ってくれるって話になっていたとするよね?

とりあえずわかりやすい様に、AとBの商品は商品としては別商品だけど、会社にとっての利益率が同じくらいのものだったとした時に、会社的には絶対2000ケースBを買ってもらった方が良いんだけど、上述のノルマがあることで営業員の自分としては1000ケースAを買ってもらえる見込み顧客が他にいなければ、どういう行動を起こすかわかります??


・・・そう、この顧客に無理言ってAをとりあえず1000ケース買ってもらうように頼むわけですよ、、、(゚A゚;)ゴクリ

そりゃー、Aの商品ニーズがBと同じくらいあれば、Aを2000ケース買ってもらえたり、AとBを1000ケースづつ買ってくれたりするかもしれないけど、そううまくいかないことも多々ありますよ。

あと、こっちが顧客に無理強いすることでその後の関係悪化とかも結構あるからね・・・

※例えば、Aがビール、Bがワインだとして、顧客の酒屋の亭主がワインを自分の店で売ろうと思ってBのワインを購入しようとしたところで、営業員がAのビールも買ってくださいってお願いして、ビールを買ってもらったとするよね?・・・その後ビールがそのお店で売れ残った時に、亭主はその売れ残ったビールを見て、自分の努力不足だったとかって思う??思わないよね、、、(;´д`)


著者も高知支店の支店長時代、営業員自身に目標を決めさせて仕事をさせ始めた際に、単発的な本社からの指示だったりをそのまま現場にはおろさない様に、自分自身が壁になっていたことが書かれている。


・・・こんな上司が営業現場には必要だよ、心底思う。。。おいらが営業の仕事していた時には毎日矛盾との闘いでしたw





②「攻めの営業」よりも「守りの営業」


言葉だけ書くと、何だか保守的な感じですが、著者の言うこととしては、
「他社の商品よりも自社の商品の方が「おいしいよ~」という広告を出すよりも、自社の商品を愛飲しているしている方にもっと喜んでもらえる様に考えて、広告を出すことで、自然と他社から自社へ移ってくる」という考えになっていったそうです。


著者が支店長をしてキリンビールの高知支店が、逆境の中で大きく売上を伸ばすことができた最大の要因が「高知が、いちばん。」の広告です。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48540?page=2
↑↑↑↑
このページ内にあるラガービールのポスター


高知はもともと酒好きの土地柄ということもあり、成人の1人当たりのラガーの瓶ビールの消費量が全国で1位というデータがあったそうです。著者はこれが使えると思い、「高知が、いちばん。」の広告を思いついたそうです。

正直なところ、高知の人にとってラガービールの消費量がどんなに多かろうと、アサヒの新商品の方が美味しいのであれば、そっちを飲めばいいだけの話です。

しかし、何事も“いちばん”が好きな高知県民の心を捉えたキャッチコピーだったようで、この広告をきっかけに大きく売上を伸ばしていったそうです。

奇しくも、キリンビール高知支店の営業員は、上記の施策により他の県の営業員よりも顧客の訪問件数を伸ばしていたこともあり、この広告をきっかけに顧客と話が弾むこととなり、良好な関係構築にも一役買ったようです。





この本の面白かったところはそんなところですかね~


あと著者のあとがきに、今後の日本企業の競争力の低下を懸念するっていう内容が書かれていて、その根拠として「近視眼に陥りやすい四半期決算制度導入をはじめとする近年の会社統治改革の失敗や過剰なコンプライアンス強化」を上げていたのに激しく共感する。



①で上げた本社からの指示をそのまま現場におろさないっていうことも、限界はありますからね、、、難しいもんです。




今回はそんなところです


ではでは(´∀`*)ノシ バイバイ

コメント

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索