【読書感想文】 『父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』 著:ヤニス・バルファキス
最近はね~読書がはかどってはかどって、しょうがないんですわぁー


これを読み終わった今現在も、購入済みの未読の本が6冊もあって、嬉しいような辛いようなの心境です。


今回読んだのは、『父が娘に語る美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい経済の話。』




以前に読んだ、『おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密』と同じ系統の本。
https://www.amazon.co.jp/%E3%81%8A%E3%82%AB%E3%83%8D%E3%81%AE%E6%95%99%E5%AE%A4-%E5%83%95%E3%82%89%E3%81%8C%E3%81%8A%E3%81%8B%E3%81%97%E3%81%AA%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%96%E3%81%A7%E5%AD%A6%E3%82%93%E3%81%A0%E7%A7%98%E5%AF%86-%E3%81%97%E3%81%94%E3%81%A8%E3%81%AE%E3%82%8F-%E9%AB%98%E4%BA%95%E6%B5%A9%E7%AB%A0/dp/4295003387



大人が経済のことをよくわからない子ども相手に、専門用語を使わずに教え諭す・・・そんな感じの本。


今回の本の作者は、2015年にギリシャの債務問題が発生した時のギリシャの財務大臣で、いうならば一番修羅場をくぐった財務大臣と言っても過言ではないのではないだろうか?


そんな著者が娘に対して語りかける口調で、終始物語は進んでいく・・・




今回もいつもどおり、自分が興味深いなとか、面白いなぁ、と思ったところを書き出していくーーー




「経済モデルが科学的になればなるほど、目の前にあるリアルな経済から離れていく」



農作物の生産によって、はじめて本物の経済の基本になる要素が生まれた。それが「余剰」だ。



文字・・・それは余剰を記録するために発生した



仮想通貨は経済が生まれたときからずっと存在した



経済について語るとはつまり、余剰によって社会に生まれる、債務と通貨と信用と国家の複雑な関係について語ることだ。この複雑な関係をひもといていくと、余剰がなければ国家はそもそも存在しなかったことがはっきりとわかってくる。国家には、国の運営を支える官僚や、支配者と所有権を守ってくれる警官が必要になる。



「支配者だけが国を支配する権利を持っている」と、庶民に固く信じさせればいい。・・・⇒宗教の起源

宗教の裏付けがなければ、支配者の権威は安定しなかった。だから、何千年にもわたって、国家と宗教は一体となってきたのだ。



アフリカの一部で濃厚経済を発展させた社会があっても、その仕組みは広がらなかった。赤道を隔てて南北に長いアフリカ大陸では、北部では栽培できる作物も南部では育たない。もちろん、サハラ砂漠ではどんな作物も育たなかった。一方、ユーラシア大陸では誰かが農耕技術を発明したとたん、それが西と東にあっという間に広がった。穀物(とくに小麦)はどこでも育ったので、リスボンから上海まで同じような小麦畑が広がっていった。侵略も盛んだった。ひとつの農耕民族がほかの民族の余剰を略奪し、自分たちの技術を別ん場所でも活かすことができた。そうやってユーラシア大陸では巨大な帝国が築かれた。だから、アフリカとオーストラリアと南北アメリカがヨーロッパ人の植民地になったのは、もとをたどると地理的な環境が理由だった。



産業革命によるグローバル化は、「偉大なる矛盾」を生み出した。「思いもよらないほどの富」と「言葉にできないほどの苦痛」が共存する世界ができあがったのだ。



おカネは目標を叶えることを助けてくれる大切なツールかもしれない。でもいまと違って、昔はおカネ自体が目的になってはいなかった。



賃金も地代も原料や道具の値段も、生産をはじめる前からわかっている。将来の収入をそれらにどう配分するかは、あらかじめ決まっているわけだ。事前にわからないのは、起業家自身の取り分だけだ。ここで、分配が生産に先立つようになった。かくして、大転換が起きた。借金が生産プロセスに欠かせない潤滑油になったのだ。利益自体が目的になったのも、このときだった。



起業家がタイムトラベラーだとすれば、銀行はツアーガイドだ。
起業家は際限のない野心で、時空の膜を超えて未来から無限の交換価値をつかみとり、現在に持ってこようとする。


経営者たちの究極の目標は、誰も働かずに済むような社会を実現することではないし、利益がどうでもよくなるような社会を実現することでもない。機会が設計した機会によって、すべての人が平等に社会の豊かさを享受できるようにすることでもない。経営者の夢は、どの企業よりも先に労働者を完全にロボットに置き換えて、利益と力を独占し、ライバル企業の労働者に自分たちの製品を売りつけることだ。



経済が定期的に災厄に見舞われると、そのたびに人間の労働力は復活する。



すべての人に恩恵をもたらすような機械の使い方はないだろうか?
企業が所有する機械の一部を、すべての人で共有し、その恩恵も共有するというやり方だ。たとえば機械が生み出す利益の一定割合を共通のファンドに入れて、すべての人に等しく分配してはどうだろう?・・・(中略)・・・利益の一部が自動的に労働者の銀行口座位に入るようになれば、需要と売上と価格の悪循環が止まり、人類全体が機械労働の恩恵を受けられる。


君は、正反対のふたつの主張が衝突する時代に生きることになる。一方では「すべてを民主化しろ」と言う人がいて、もう一方では反対に「すべてを商品化しろ」と言う人がいる。・・・(中略)・・・民主主義では、ひとりに1票の投票権がある。しかし、市場では富の多寡によって、持つ票の数が決まる。



つまり新しい現在の宗教こそ経済学だ。








この本、父親が娘に対して“経済”を教える体裁を取りつつ、“経済”の仕組みを教えることで話は展開していくが、最終的には哲学的・社会的な話題にまで飛び火し、“経済”が発展することの悪影響だったり、“経済”はそもそも発展した方が良いのか?くらいまでの疑問を読者に考えさせる、実に深い一冊になっている。


そんなこともあってか、冒頭付近ならまだしも、中盤~終盤になって振り落とされる読者も相当数いるのではないだろうか?、、、まぁそもそもこのタイトルを見て、私のように“娘に伝える父親側”の人間の購入が大半で、“父親に教えてもらい娘”側の購入層はほぼいないだろうから、それはそれでいいのかもしれないが・・・




数ある経済学の著書の中でも、最高にわかりやすいけれど、生々しい本だったと思いました。




今回はこんな感じでーーーす


ではでは(´∀`*)ノシ バイバイ






コメント

pao
2019年4月23日12:47

乱世を生きる市場原理は嘘かもしれない。
橋本治著。

ミートボウズ
2019年4月27日19:57

>>paoさん
その著書が、その著書がおすすめということですかぁ~!?
タイトルと作者名だけでは何とも、何とも・・・w

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