【読書感想文】 『無気力の心理学 ~やりがいの条件~』 波多野誼余夫・稲垣佳世子
最近自分の中で空前の新書ブームが到来しております!!


だってよく考えてみてくださいよ~ 新書って、たかだか800円くらいで良質な内容をあの薄いページ数でまとめているんですよっ!!


言うならば、新書って外食業界での吉野家的存在で、、、




安い!!薄い!!面白い!!
の3拍子揃っている本なんですよっ!!?





つーわけで、今作の『無気力の心理学』ですw


なんかこの本は、元々この本が出たのが1981年だったものの結構な重版を重ねて、満を持して今年の1月に改訂版として出たんだとのこと。


初版が自分の生まれた歳よりも前ということで、書かれている内容がそれだけ古いということで心配は残るものの、そんな中でも今年になって改訂して出るくらいなんだから令和のこの世にも使える重要な内容があるんだろうと思い購入しました。


内容はタイトル通り、どうすれば“無気力状態”を脱することが出来るのか?やりがいを感じるにはどうすればいいのか?という内容です。


海外での無気力に関しての実験内容を多数紹介しているのですが、この本1冊通じて実験結果がグラフになって紹介されている部分が一箇所たりとも存在しないというのも特徴的でした。決してそれによって理解しにくくなっているわけではないので、著者の説明能力が高いということですね。


内容を私の言葉で簡単に要約していきます。



まず最初にセリグマンの実験を紹介しています。セリグマンは犬に電気ショックを浴びせる実験を紹介しつつ、自分の行動によりショックを回避できない経験をすることで、①環境に能動的に反応する能力が低下、②学習能力の低下、③情緒不安定、となることを紹介しています。

具体的には、自宅が騒音地区の子どもには、あきらめが早い傾向があることや、施設で育てられた乳児は自分からすすんで環境に働きかけしないことなどが挙げられていました。


施設で育てられた乳児の“問題ある落ち着き”が形成する流れをこう分析しています。
①「抗議」・・・おしめを替えてほしいとか、ミルクが飲みたいなどの泣いての訴え
↓↓↓
②「絶望」・・・泣くことを辞める
↓↓↓
③「否認」・・・自分には環境に働きかける能力がないと認識する


こういったことから、乳児などの発達初期に「自分は環境に影響をもたらすことができる」と感じる経験をもつことは有用で、それにより①将来の挫折した際の耐性、②知力の発達、③多様な表現力、に繋がるとしている。




親や上司は全部が全部ではないので例外はあるが、子どもや部下の失敗時には、「失敗の原因は能力が劣るからではなく、努力が足りなかったから」と伝えて励ましてやったほうがよい。





メタ認知と言って、自分の得意不得意、能力、適正、興味を知っておくことも大事。子供の時にはこの認識力が親よりも劣っているはずなので、親が教えてあげることも重要。






ごほうびがあることで頑張りが増すことはあるが、ごほうびが無くなった瞬間やる気が削がれてしまうという功罪がある。

競争させることで頑張りがますことはあるが、社内での抗争、職場内で険悪な関係が発生してしまう等の功罪がある。

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他者との暖かいやりとり、仲間同士の教え合いを活用すると良い





プロ野球選手など熟達者は初心者と何が違うのか?
↓↓↓
たんに強い筋肉を持っているとか、すばやく動けるとかではなく、自分のできる範囲内の活動のうちから適切な判断ができるということで、初心者と大きく違う。








教育現場において活用方法

①協同学習(⇔個別学習)
②過去の自己最高記録との競争
③集団同士の競争(少数派切り捨ての危険性もあるので注意が必要)






「労働者」というレッテル認識はモチベ低下に・・・
究極的には、アメやムチでなく、労働に内在する喜びを探求する。

※自動車製造のある工場では、極端な分業をするベルトコンベア方式をやめて、行員の「自動車を作る喜び」を味わわせようとしている






受験競争は、長期において能力競争を避ける機会として機能している
※あんまり社内で社員同士がバチバチしてても悪影響だから







こんなところですね~


5歳の子どもを持つ親としては、子どもの失敗時の励ましの方法や、周囲と比較するのではなく、過去の自分との競争をさせるというやり方は非常に良いと感じました。




さすが良著だけあって、初版から40年近くたった今でも得るものが多かったですね~




ではでは(´∀`*)ノシ バイバイ

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