【読書感想文】 『死に至る病 ~あなたを蝕む愛着障害の脅威~』 岡田尊司
引き続き新書読んだります。

もう最近は本屋に行ったら、ビジネス書の新刊のコーナーを軽く見てから、すぐに新書コーナーへ行って、延々と好きそうな1冊を見つける作業です。


つーわけで今回読んだのは、『死に至る病 ~あなたを蝕む愛着障害の脅威~』 岡田尊司著です。

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この本は“愛着障害”に関して書かれた本で、かつて哲学者キルケゴールが書いた著作『死に至る病』をモジって書かれた本。

モジってと書いたけど、正確に言えば同名なんですけどね。


キルケゴールはその著作の中で「死に至る病とは絶望のことである」ということで、絶望に関して書いたのに対して、この本では「愛着障害とは絶望のように神を信じられなくなったどころか、親の愛さえも信じられないこと」と、愛着障害のリスクを警鐘して始まる。


以下、内容を自分なりに要約していく~



●境界性パーソナリティ障害という精神病とも、神経症とも言える病気が1950年代より目立ち始める。子どものうつを調べていくと、家庭環境、とりわけ両親の仲が影響がしていることがわかってきた。




●ADHDは遺伝要因が7~8割程度ある症状で、米国でも1950~60年代に突如として目立ち始める。調査していくと虐待・養育者の交代により発症リスクは高まっている。




●みよりの無い子どもが預けられる養護施設と、刑務所内にある乳児院(母親が服役中ということ)で、子どもの発達状況や健康状態を調査をした結果、刑務所内の子どもの方が断然発達状態・健康状態ともに良好に育っていた。これにより、育て方云々よりも母親の存在の有無の方が、子どもを育てる上において重要だと言える。






●子育てにおいて重要な脳内物質がオキシトシン。オキシトシンが正常に稼働することにより、2つの効果が認められる。

①育児や世話だけでなく、絆(つがい関係、他人関係)にも重要な作用
②ストレス・不安の軽減効果


虐待やネグレクトの経験のある子どもはオキシトシンの働きが悪く、オキシトシン受容体が少ない

※オキシトシンのメチル化






●子育てにおいて母親が意識すべきことは、子どもにとって安全基地のような存在になること。



安全基地になるための条件は2つ
応答性・・・子どもが助けを求めたらすぐに駆けつける。


共感性・・・気持ちを共有し同調することと、相手の気持ちを正確に理解する。



安全基地があることにより、子どもの①情緒的安定、②外界への好奇心、の育成に繋がる。





●オキシトシン濃度はどういった時に高まるのか?
①親子で遊んだあと、そしてそれ以上に重要なタイミングが、②親子間の感情が同期する時。

気持ちの共有が大事

オキシトシンがうまく働かないと、免疫系の発達障害が起こり、病気にもなりやすいし、ちょっとした病気が重症化しやすい、愛着障害の母親は陣痛の際にオキシトシンが足らなくて痛みに耐えきれず麻酔が必要になったりする傾向があるのでは?






●愛着障害になった子どもの特徴

回避型・・・失感情症に見られる、無関心、無気力な状態。相手の気持ちにも、自分の気持ちにも共感できない。
※自分の感情を言い表せない。辛い状況だけど辛いと感じない、ストレスはどんどんと溜め込んでいっている。



不安型・・・なにかに依存する傾向。依存先としてはパートナーだったり、酒、タバコ、覚せい剤・・・等々、パートナーに極度に依存する一方嫌なことがあると、裏切られたという思いからストレスを撒き散らす傾向。撒き散らす分、回避型よりも健康的。




両価型・・・例としては、親が受験等で子どもに期待しすぎている家庭環境で育つことで、親の期待通りの子どもになろうとするタイプ。期待に沿うことが子どもの中で全てとなるので、学業についていけなくなったり、目標の大学に進学できなくなったり、もし目標の大学へ進学できたとしてもそれ以降何をすればいいかよくわからなくなってしまう等。





人間が幸福を感じることが出来るのは3つのみ

※この3つの脳内物質のどれかによってしか、人間は幸福と感じられない

①エンドルフィン・・・お腹いっぱいにご飯を食べたり、セックスしたりするときに出る。


②ドーパミン・・・困難な目標を達成した時に出る。
※希望の大学に合格した時、麻雀でロンした時、マラソンを完走した時とか。
これを悪用したのが麻薬。


③オキシトシン・・・愛する者の顔を見たり、ふれ合ったりした時。他人とのふれあいを通じて出る。
※上記2つと大きく違うのは、興奮というよりも安らぎの感覚。そして唯一努力・行為がいらないし、結果もいらない幸福。無条件で与えられる満足




だから愛着障害になると(オキシトシン不足)、過食症(エンドルフィン追求)や、麻薬中毒(ドーパミン追求)になるリスクが上がる。






Q.なぜ近年になって愛着障害がよく目に付くことになっているのか?


A.かつては愛着障害になると、成人になるまで生き延びることができなかった。それが1940年代にペニシリンが発見されたことによって、乳幼児の死亡率が減少した。

※19世紀の乳幼児の死亡率は、イギリス25%、フランス30%、イタリア・スペイン40%だった。

その他にも、米国では1950年代以降、女性の職場進出が進んだことや、米国の離婚率が1960年代から急増し、1980年代以降高止まりしたことも要因と考えられる。


そしてもう一つ、無宗教の人が増加しているということも要因だと考えられる。かつては宗教は親のいない子、愛されない子にも等しく神や仏の愛を注ぐという安全装置としての機能があったのではないか?

※無宗教の人のデータ(米国)、1950-60年代2%、1970年代3%、1980年7%、2010年14%、2018年20%






●ADHDは過去30年以上に渡って、遺伝要因があるものであり、養育要因は無関係とされてきたが、今後その常識が崩れる可能性もあるかもしれない。

オキシトシンは落ち着きを高める作用があるが、ADHDに無関係と言えるだろうか?





愛着とは世話をする仕組みである。

愛着の希薄化が進行すると、人は誰の世話もせず、誰の世話にもならず、自分のためだけに生きる。そこには生きる喜びも得られない。



結論として、愛着障害によって、社会から生きる意味が失われるという根源的な破綻が発生する。







とまぁーこんな感じです。


人間の幸福は3種類しかないってのが、へぇ~ってなったなぁ~

作者の岡田さんは、障害者には国の支援があるにも関わらず、愛着障害者には一切の支援がないということに異を唱えていらっしゃいましたが、実に根が深い問題でどうすればいいんでしょうかね?



今回はそんな感じでーーす


ではでは(´∀`*)ノシ バイバイ













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